うさぎ物語 in 西晋  司馬炎と賈充の命日なので、一回こっきりの西晋うさぎ物語


うさぎ村には、沢山のうさぎが住んでいる。
だいたい、色は黒・灰色・茶色、そして白になるわけだが、ここに、二羽だけ、どうも他と違ううさぎがいたのだ。
このうさぎ村は一色の毛色ばかり。でも、その二羽は違う。
一羽は黒白のぱんだうさぎ、もう一羽は灰色と白のぱんだうさぎ。
さて、ここで灰色と白のぶちをぱんだうさぎと言うかは置いといて。

白黒ぶちのうさぎはかじううさぎ(注意:賈充にあらず、かじう)、灰色と白ぶちうさぎは安世うさぎと呼ばれておりました。
かじううさは、安世うさの教育係のようなもので、いつもこの二羽は一緒におりました。
安世うさぎのパパ・子上うさは、子育てをかじうに押しつけたきりで、休日に遊園地に連れて行ってくれるくらいしかしません。
それで育児に参加していると言い張ったので、かわいそうな子上うさは奥さんに逃げられ寸前です。それはさておいて。
なので、かじううさが安世うさのパパでありママンであり、そして先生であったわけです。危険ですねー。

ある日、外で遊ぶ伯約うさと文偉うさを、安世うさはじーーーっと見ておりました。
「どうしたの?」
文偉うさが近づいて声をかけます。
「暇なら一緒に遊ぼう?」
「・・・う、ううん、いい。・・・ちょっと・・・」
安世うさは、何故か暗い顔をしていました。
文偉うさは少しだけ気になりましたが、声をかけてほしくない様子だったので、またね、と言って、伯約うさの方に戻っていきました。

次に安世うさが来たのは、父親の子上うさのところでした。
「どうしたんだ? 景気の悪い顔をしてるな。」
「ん・・・」
やはりさっきのような視線で、じーーーっと子上うさを見ます。
「ねえ、父上、ぼくのママンは白うさぎなんだよね?」
「ああ、そうだよ。」
「で、父上は灰色なんだよね。」
「見ればわかるだろう・・・・」
「・・・だよね・・・」
ぽつりと言って、はあーーーっと溜息をつくと、安世うさは子上の部屋を出ていってしまいました。

次に、安世うさが出掛けていったのは、いつも可愛がってくれる叔母さんの所でした。
叔母さんの諸葛夫人うさは、諸葛一族特有の綺麗な銀色に近い灰色うさぎの一族です。
口の悪い彼女や、同じ諸葛の諸葛亮うさなどは、子上うさの灰色を「どぶネズミ色。私達はシルバーグレー」とよく悪口を言ってます。
でも、その叔母さんは安世うさを可愛がってくれています。
遊びに行くと、その叔母さんの父親である諸葛誕うさも遊びに来ておりました。
やはり綺麗な、シルバーグレー一色です。
「どうしたんだ、元気ないな?」
誕うさに声をかけられると、安世うさはこくんと頷きました。
子上うさがかつて意地悪をして、誕うさはこのうさぎ村にいられなくなり別の地に住んでいるのですが、いつもこうして優しくしてくれます。
「うん・・・。あなたも一色なんだね・・・・」
「は?」
「ううん、こっちの話・・・」
そう言うと、安世うさはとても哀しそうな顔をしました。

その日の夜、安世うさはこっそりと買い物に行きました。
買ったのは、うさぎ専用グレーの毛染め。
それを手に、かじううさのところへ行きます。
「は?・・・染めるんですか?」
「うん。」
かじううさに言われて、安世うさはおもいっきり頷きます。
「だって、変だよ。みんな一色なのに、なんでボクは二色なの? 」
「はあ・・・」
「だから父上もかまってくれないんだよ。だから、染めて、父上と同じ色になるの。」
いや、あの父親は単に無責任なだけですよー・・・とは流石に言えず。
「お父上がかまってくれないのは、いろいろとお忙しいからですよ。」
「でも・・・でも、染めるの!・・・一人でやるとムラになっちゃいそうだから、かじう、お願い・・・」
「はあ・・・まあ、いいですけどね・・・・」
かじううさは内心複雑でした。

二色のぶちうさぎは、自分と安世うさの二羽だけ。
実はかじううさにはそれが嬉しかったのです。
自分たちだけ、どこか特別な繋がりがあるんじゃないかと思うくらい。
だから安世うさを可愛がっていたのに、あんなんでも父親のほうがいいものなのか、そう思うと複雑でした。

「・・・そうですか・・・染めてしまうんですね。わかりました。」
かじううさは笑顔で、でも寂しそうに言いました。
「そうすると、ぱんだうさぎは私一人になってしまいますねえ・・・・」

安世うさは、はっとしました。
そうだ。
自分がなんでかじううさに懐いているのか。それは、自分とおなじ二色うさぎだからではなかったのだろうか?
そんな自分を、かじううさはとても可愛がってくれます。
悪いことをしても隠蔽してくれるし、嫌なヤツはどこかに追いだしてくれるし。

「・・・やっぱり、染めなくていいよ!」
安世うさは言いました。
「かじうがいるもんね。ボク、大丈夫だよ!!」

それ以後、安世うさが寂しそうにしていることはありませんでした。
相変わらず二羽はつるんでいます。
それはそれで、幸せそうな二羽でした。


おしまひ
 


イラスト付きにしたかったのですが無理でした。時間も画力もありませんでした。おまけに色鉛筆までどっかいっちゃった・・・・


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